今週の山頭火句

今週の山頭火句 笠にとんぼをとまらせてあるく  山頭火

2017年4月25日火曜日

『第22回山頭火俳句ポスト賞』のお知らせ

『第22回山頭火俳句ポスト賞』を発表します。

山頭火俳句ポストの表彰も22回を迎えます。                 
表彰式は、四月二九日(祝・土)「俳句一草庵」開催日におこないます。
俳句ポストへ
平成28年11月1~29年2月28日に投函された句です。
                                           
  一草庵の「山頭火俳句ポスト」に投句された俳句は、115句。
 (内、県外句は16。) 北海道、福島いわき市、、埼玉県所沢市、幸市、
 東京都、岡崎市、京都市、岡山市、香川さぬき市等、投句の中より、
 各選者の先生に優秀句を選んでいただきました。 



山頭火俳句ポスト大賞

めからきになる 松山市 いわさきゆうな
(6歳)

【評】数少ない児童俳句の中に、この句があった。大人の俳句の多くは有季定型で、
名吟も目立ったが、掲句の「芽」から「木」になると断定した、自由律句の迫力には
叶わないと見えた。実に無駄な文字が一つもない山頭火俳句ポスト賞にふさわしい
名句(熊野)

山頭火一浴一杯賞

日だまりを作る二人や冬の薔薇    松山市 岡崎唯


【評】人が日溜まりに居るのだが、その日溜まりは二人が作ったのだと
いう表現が見事。気象的な日溜まりの暖かさは、そこに二人がいることで
倍加する。二人が居ることによって日溜まりが完成すると言ってもいい。
冬の薔薇が二人の関係を象徴している。(小西)

山頭火柿しぐれ賞

柿の実のひとつもなくて青空  松山市 堀口路傍
       
【評翌年の豊作を願い、果実を全部取らずに、枝にひとつ、ふたつ残し
ておくことを「木守り」というが、掲句は「柿の実のひとつもなくて」な
のである。元来、「空(くう)」であるから、何も持たないことこそが、
宙そのものを手にすることができる、つまり、「本来無一物、無一物中無
尽蔵」の境地であろうか。作者の思いの集約である「青空」が美しく、爽
やかだ。(白石)

小西昭夫選

【特選】
うどん屋へ通う猫いて春立てり 松山市 浅海好美
 【評】うどん屋へ通う猫が居ることと春立つことは何の関係もない。
その意味ではとてもナンセンスな句なのだが、実際にそういうことも
あるだろうと思わされる。この句の無意味さが、読者にうどん屋や猫
や立春への様々な思いをかきたてる。

【入選】
足摺の風の形の薮椿      松山市 長澤久仁子
【評】足摺の椿は有名だが、その椿は海からの風を受けて陸の方へ傾い
ているのだろう。その木の形を「風の形」ととらえたところが素晴ら
しい。もちろん、薮椿の花もその木の形に咲いているのだ

白石司子選

【特選】
少年の軍帽ありて天の川     松山市 村上邦子

【評】現在も地球上で行われている戦争。嘗ての日本がそうであったよ
うに、殺戮を正義と信じさせ、それを疑うことすら知らぬ「少年」こ
そが最大の犠牲者といえるかもしれない。この句の場合、「あり」の終
止形ではなく、助詞「て」による軽い切れが余情を生み、軍人の証で
もある少年の軍帽から抱いた作者の思い、また、時間の経過みたいな
ものを感じさせる。そして、いつの時代も変わることなく輝いている
「天の川」への飛躍が、一句を大きなものにしている。

【入選】
ジャンケンポン拳ひらけば蕗の薹 松山市 今岡美喜子

【評】「最初はグー、ジャンケンポン」の掛け声で始まる遊戯。グーか
らパーへと五指を開けば、チョキには負けてしまうが、そんな勝敗とは
関係なく、「蕗の薹」が顔を出す。それは、実景とも、また、春の訪れを
真っ先に感じ取っている作者の感性そのものとも考えられ、「掌ひらけば」
ではなく、「拳ひらけば」としたところも、固く閉ざしていた冬から春へ
和らいでいくような明るさを感じさせる。

本郷和子選 

【特選】
春眠猫と寝る            松山市 堀口路傍
【評】「春眠暁を覚えず」と唐の詩人、孟浩然が詠んだ。春、暁の眠り
心地は格別のよさがある。掲句の「猫と寝る」によって、愛猫家であ
ろうと思う。猫と寝ていた私は、すべてよくわかる。猫のやわらかく、
ふんわりと暖かい毛は、羽毛布団など比ではない。自分の腕に抱いて
寝れば、最高の眠りの質となる。自由律であるが、余分な語は一切な
くこの句はこの短さで成立している。 

【入選】
日だまりを作る二人や冬の薔薇  松山市 岡崎唯

  【評】日溜まりは元来人間が作るものでなく、太陽によって作られる
それを恐らくカップルだろうと思われる二人が、公園か庭の隅の方に
座って楽しそうな会話をしているのかも知れない。そこはあたかも、
二人がいることによって、日溜まりを作っているようなのだ。そのそ
ばには冬のバラが咲いてほっこりと暖かい空気が漂っているのだろう。
景が浮かんでくる。

熊野伸二選

【特選】
老いてゆくひと日大事に初日記   松山市 大野恵子
【評】人は自らの存在証明を何らかの形で残したいと思う。例えば自
分は生きて何をして来たか―「誰に」というものでもないが判ってほ
しいと思う。日記も或いはその一手段かもしれない。一日一日を大事
に生き、日記に残そうと思うのは人情。

【入選】
臨月のせばまる膝に毛糸編む   松山市 今岡美喜子

【評】出産日が近い妊婦のお腹は、見事にせり出してくる。座れば臨
月の腹が足を覆い膝は狭くなる。その膝に生れて来る赤ちゃん用のお
くるみでも編んでいるのであろう。よろこび幸せの風景だ。