今週の山頭火句

今週の山頭火句 さてどちらへ行かう風がふく  山頭火

2016年8月17日水曜日

『第20回山頭火俳句ポスト賞』の表彰!

『第20回山頭火俳句ポスト賞』の表彰。

(投句期間は、28年3月1日~6月30日)


表彰式は、「一草庵夏の子どもまつり」開催日8月6日(土)に一草庵で行いました。
                                           
一草庵の「山頭火俳句ポスト」に投句された俳句は147句。
(内、県外句の数15句 東京都国立市、福井市、千葉市川市、名古屋市、姫路市市、神奈川県葉山、埼玉県東松山市、大阪市、長崎市等)の投句の中より、各選者の先生に優秀句を選んでいただきました。) 
   
                   

山頭火俳句ポスト大賞

かぶとむし大きくなったなつやすみ   松山市 池田篤史

【評】夜行性の「かぶとむし」の採集は時間帯的にも結構大変だけど、
それだからこそ、ゲットした時の喜びは大きい。7月頃に捕らえると、
二か月ほど飼育できるので、もしかしたら飼育のみでなく、繁殖させて
幼虫も育てたのかもしれない。そして、自然の中で採集し、飼育、繁殖
させるという過程で、かぶとむしだけでなく、君自身もこの「なつやす
み」に「大きくなった」んだね。(白石)

山頭火一浴一杯賞

職すてしよりの気儘や夕団扇   松山市 丹下ひろし

【評】仕事から離れてすべてから解放され本当に自由になったことを作者気まま
あると言っている。気ままにできることを喜び、幸せ思っていだろう。
季語の「夕団扇」にその内面が表現されている。Tシャツと短パン縁側に腰かけ
扇をバタバタしているお父さんが目に浮かぶ。(本郷)

山頭火柿しぐれ賞

梅雨寒の誰来るでなき日暮れかな   松山市 門田啓子

【評】梅雨季は、むしむし暑い事が多いが、たまに冷える。そんな一日、
おそらく独り身の作者は、終日家で過ごし、日暮れ時に至った。「今日も
誰も来なかったな」と思う。誰かの来訪を特に期待はしないが、ちょっぴ
り寂しい気持ちもよぎる。「人は所詮一人で生まれ、一人で没する」と悟
りながら「されどー」と思う人情。人柄の落ち着き、暮らしの静謐が句に
滲む。(熊野)

小西昭夫選
【特選】かきごおりあたまがこおってうごけない 松山市 池田篤史
 【評】かき氷を食べて頭がキーンとなることは誰もが経験することであり、
  それを詠んだ句も多いが、「あたまがこおって」はこれまで見なかった
  表現だ。この表現で見事な詩になった。
【入選】春光を紙飛行機に折り込む   松山市 岡崎 唯
【評】下五の「折り込む」の字足らずの表現が、自由律ぽくもあるし、急に梯子を   
 外されたような面白さもある。破調が魅力の一 句。
白石司子選
【特選】青信号人波くぐる夏ツバメ       松山市 亀井紀子
【評】春、日本に渡来した「ツバメ」は、巣作りをし、「夏」には、そこで子を産み
てる。一日に何度も「人波をくぐ」りながら、餌を求めて飛び立ち、忙しく子育てを
ている、そんな親ツバメに対する作者のやさしい眼差しが「青信号」なのである。


【入選】新樹光平和通一丁目     松山浅海好美
【評】地名を詠み込む句は割と難しいので避けてしまいがちだが、掲句では「平和通」、また、「一丁目」が効果的だ。夏の「光」を浴びて輝く「新樹」の瑞々しい通り、それも二丁目でもなく、三丁目でもなく、一丁目、そんなところを散策したいし、また、住んでみたい、と思わせる作品である。


本郷和子選
【特選】水にまる描いて陣どる水馬     松山市 今岡美喜子
【評】水馬が水を掻くたびに水輪を描くことは当たり前であるが、丸
を描いて陣どるという思いつきが愉快だ。この円の中は自分の陣内
 だから、侵入させないという水馬の意志と捉えてもよい。水馬の句
 は山のようにあり類句も多い、でもそれはしかたないことである。
  
【入選】夏みかん雨の遍路にもたせけり  長崎市 津田番茶

 【評】四国の地ならではの句だ。おもてなしの精神のこもったあたたか
  い句である。雨の日のお遍路さんをいたわってどうぞ召し上がれと、
  夏みかんを持たせたのだろう。ただ、それだけのことだが、それだ
けのことをする人と、それだけを一句にする人を尊敬したい。遍路
は春の季語であるが、この句は、あえて、夏遍路として詠み、夏み
かんと季重なりとしても寛大に受け入れたい。

熊野伸二選
特選】 切通しゆくや一閑夏つばめ   松山市 山本こうじ 
      
【評】燕の飛翔を見ると「あの高速でよく飛べるものよ」といつも感心する。しかも、飛びながら餌の虫を捕らえる。地面すれすれから急に高みへ身を翻す。子育ても終
 盤にかかった「夏つばめ」は忙しい。餌を求め、地形の変化に即応する飛翔は、一
 瞬ぴかっと光るが如き瞬間の早業。「一閃」の語が効いている。

【入選】寺町をもとほる茅花流しかな    松山市 菊野晄子

【評】「もとほる」の現代仮名遣いは「もとおる」。漢字では「徘徊る」と書く。
 林古径作詞の童謡・唱歌「浜辺の歌」の二番は「ゆうべ浜辺をもとおればー」で始
 まる。「まわる、めぐる」の意味。「茅花」は「茅萱」ともいうイネ科の多年草。
 その花は咲ききって絮(わた)となり、ほぐれて飛ぶ。そのころ吹く湿気の多い雨
 交じりの南風が「茅花流し」だ。一草庵周辺の寺町の風情。