今週の山頭火句

今週の山頭火句 旅のかきおき書きかへておく  山頭火

2015年8月23日日曜日

『第五回一草庵・夏の子どもまつり俳句賞』の紹介します。


『第五回一草庵・夏の子どもまつり俳句賞』



                                                          
小西昭夫・選

【特選】せん風機兄弟ゲンカの原因に 清水小4年  野崎一真

とにかく暑いので扇風機の風が欲しい。少しでもたくさんの風が欲しくて、
風の取り合いで兄弟ゲンカが起こったのだ。こんな経験を持つ人も多いのでは。

【入選】なかよしの友だちみたいさくらんぼ 清水小4年 太場信之介

さくらんぼは同じところから出た2、3の茎の先に実る。真っ赤に熟れた
さくらんぼは、本当に仲よしの友だちみたいだ。

【入選】蚊にさされぷくうとふくれた足の裏  湯築小6年  中野智之
蚊は皮膚が硬い足の裏まで刺すんだね。ぷくうとふくれた足の裏の痒いこと。
足の裏に意外性があって面白い。
【入選】 セミの声虫とりあみといそぐ足     姫山小4年   渡邊 吏
セミの声を聞いて、急いで虫取りに行こうとする気持ちがよく出ている。
  特に、「急ぐ足」としたところが素晴らしい。

【佳作】きょうもあめわたしはおうちかえるはおそと  
                                    清水小1年   小野芽咲
雨が続いているからわたしは外に出かけられない。「わたしはおうち」「かえる
はおそと」の対比的な表現がリズムがあってかわいらしい。

【佳作】ベランダの今年のゴーヤ大きい葉    湯築小5年   宮本柚花
ベランダにゴーヤを植えたが、今年のゴーヤは上手く育って大きな葉をつけて
いる。素敵なグリーンカーテンができることだろう。

【佳作】日光が食べろと言ってるかき氷      姫山小3年  上野 稜
ぼくが食べたいのではない。日光が食べろと言っているから食べるのだ。
ホントだよ。日光が食べろと言ってるから食べるんだよ。笑える。
白石司子・選

【特選】夏休み海だプールだ宿題だ      清水小4年  保手浜 凱
君が待ち望んでいた楽しみがいっぱいの夏休み。それが、「海だプールだ」に
よく出ているし、最後に「宿題だ」としたことで、優先順位もよく見えてくる。
まず、海、次にプール、そして最後に少々(?)宿題。二学期が始まる頃、
きっと君は真っ黒に日焼けしているね!「だ」・「だ」・「だ」のリズムもいい!

【入選】せみの歌はみがきの音と合唱中    清水小6年   神田凌吾
食後には、いつも「はみがき」するけど、多分、これは朝の景なんだろう。
せみの歌とはみがきの音の合唱で、今日も元気に、そして楽しく、
一日がスタートする。

【入選よるしずかもりでたたかうかぶとむし 湯築小1年 山下蒼生
    しずかな「よる」には、にんげんたちはねむりにつくのに、ふと、きみは、
「もりのかぶとむし」のことを、おもったんだね。「よるには」ではなく、
「よるしずか」としたことで、たたかう「かぶとむし」の「ようす」や「おと」
 までがきこえてきそうだ。

【入選】この気もち家族で伝えるばんご飯   姫山小4年  石田和也 
時くらい。「気もち」ではなく、「この気もち」としたことで、胸の内から
取り出してきた気持ちのような感じが伝わってくるし、「父」とか、「母」
ではなく、「家族で」としたことで、朝はあわただしく、昼間は学校やお勤め
に出ていて、家族がそろうのは、ばんご飯の一家団欒の様子も伝わってくる。

【佳作】いつのまに風がいっしょに勉強中   清水小4年   宇都宮萌香
季語はないけど、一句全体からは、何となく夏を思わせる。暑いんだけど、
何か気持ちいい。それは、風が君といっしょに勉強しているから。この風っ
ていつのまに来たんだろう。

【佳作】夏休みはじまってしまうどうしよう 湯築小1年   岡田唯花
この句がお母さんのものだったら、「どうしよう」から、困惑気味の姿が想像
されるが、夏休みを楽しみにしている君だから、きっと、「あれもしたい、
これもしたい、結局、どうしよう」ということなんだね。

【佳作】ミニトマトじぶんでそだててすきになる姫山小2年 池永 陽
もしかしたら、トマト嫌いだった君。でも、苦労して自分が育てた、そして、
ミニサイズなら、あら、不思議、大好きになったんだ。

本郷和子・選
【特選】ごうかいなスマッシュ決めた夏の空 姫山小4年   池永 修
   テニスのボールで、スマッシュ決めた時の喜びが、見えるよう。
  夏の空の青さも目の前に広がります。

【入選】満天の星は花火の落し物           粟井小4年    今岡孝太郎 
花火の後、空を見ると、満天の星が見えたのでしょう、まるで
花火が散らして行った花火のかけらのようだったのか、
それを、花火の落し物といったところが、素晴らしい。
【入選】雲は画家私の似顔絵えがいてる   姫山小6年    松岡美季
  雲がいろんな形をして、自分の似顔絵みたいと思える
 ほど、感動したのでしょう。雲を画家と言ったことでも
素敵です。季語がない俳句も、俳句と言えます。

【入選】まどの外かえるの合唱ガキグケゴ  清水小4年   太場信之介
   かえるの鳴き声をガギグゲゴと表現したことの面白さ、たしかに、
   その通りです。発見がすごい。

【入選】ゆかた着て夕日ながめる五色浜      湯築小5年  荒木亮祐
    ただ夕日ながめるのでなく、浴衣を着ているのが、絵になっています。
五色浜の景色にぴったりとして美しい。
【佳作】 くまぜみが木からなかまを見上げてる     姫山小3年   三好詠太
    せみの鳴く声をいっているのでなく、くまぜみが、見ている様子を
想像したのでしょう、仲間は飛んでいったのか、それとも木の上のほうで、
鳴いているのかも知れない。

【佳作】一年生あさがを咲いて笑顔咲く  清水小6年  シュマスマン・リアン
    一年生の子たちが、朝顔の世話をしているのが、観察しているのか、
   咲いているそばで、笑顔が、咲いていると表現したところが、上手。
【佳作】まっかだねいのちは一つミニトマト  湯築小2年   吉田晴紀
 真っ赤にうれたミニトマトを、命は一つと言って、俳句にして驚きです。
本当に、人間も、トマトも、みんな命は一つです。

     
熊野伸二・選

【特選】せん風きあああああああうちゅう人  湯築小3年白川真圭
扇風機の正面に立つと、確かにこの句が言うように「あああああああ」に
なりますね。言葉を発すると、さらにおかしな「あわあわあわわ」にも。
中7を全部「あ」でまとめた大胆さにも脱帽。

【入選】なつがきたぼくはぷうるでうおになる 湯築小1年田中祐樹
夏は学校が休みになり、子どもたちは海やプールで泳いだり、山や森で昆虫採集
したり、楽しいシーズン。ぼくも水を得た魚さながらに、プールで魚のように泳
ぎが楽しめます。

【入選】風穴やかっこうの声すずむ森     姫山小6年  守谷柊真 
作者は、東温市上林の皿ヶ嶺山麓の風穴を訪ねたのでしょうか。ヒマラヤの
青いケシの花が咲く風穴で、涼しい風が吹き出ています。カッコウの鳴き声
もあって、快適空間の森です。
                                 
【入選】かささすときゅうにきこえる雨の音 清水小4年 永見一翔 
雨が降っても強い雨でない限り、音は聞こえません。ところが、傘をさすと
「ぱらぱら」「ばらばら」と雨が降っているのが、確実に解ります。「きゅうに
きこえる」がうまい。 
                                   
【佳作】ゆかたをきおまつりにいく母といく 湯築小2年 岡野双葉
浴衣を着る季節だから、お母さんと夏祭りへ出かけるのでしょう。
「おまつりにいく母といく」と「行く」を二度用いたところに、作者の期待
感や喜びが表現された。 
                                    
【佳作】かくれんぼ二ひきの金魚「もういいかい」
                          姫山小4年 小島彩聖 
家で飼っている金魚が、金魚鉢の中で追っかけっこしたり、かくれんぼしたりする
のを、観察したのでしょう。作者は、金魚の身になって「もういいかい」と声を
掛けたのです。
                                        
【佳作】カブトムシつちがとびちるおおげんか
                          清水小2年 栗田紗梨菜  
カブトムシは、元気者の昆虫で知られます。オス同士は、餌やお嫁さんを
めぐって、はでなけんかをする場合があります。作者が見たけんかは、
土が飛び散ると大げんかだったのです。