今週の山頭火句

今週の山頭火句 すわれば風がある秋の雑草  山頭火

2012年9月30日日曜日

ハイクアート「種田山頭火の世界」を紹介します。

9月28日、勝山中学の1年生が、総合学習の時間の勉強に「一草庵」へ来てくれました。
各クループに分かれて、次々と約90名のフレッシュな生徒たちに、
若さと新鮮さを一杯いただきました。

  もりもりもりあがる雲へあゆむ  山頭火

の句を紹介しました。
<山頭火松山での句帖、9月1日の句>

彼らに、
山頭火は、空を・雲を見上げて、未来に向って歩き続けるぞ、その気持ちを持ち続けようと、つぶやいているようですよ。
その山頭火の気持ちを、あなたたちも忘れないでね、と説明させていただきました。


そんな時、吉田さんが、ハイクアート「種田山頭火の世界」のポスターをもって来てくれました。
「切り絵」でつくられた山頭火の作品です。
もりもりもりあがる山頭火の世界が、見事に表現されています。


 作者:吉田多喜子さんの言葉です。

 「漂泊の詩人として、俳句愛好家に大変人気の高い「種田山頭火の世界」を切り絵で表現し、ハイクアート絵はがきを作りました。あわただしく過ぎてゆく日々の中でホッと心癒される一シーンとして、居間・廊下・玄関などお住まいの一隅に。また遠く離れた大切な方への季節の便りなど、詩情豊かに演出しお楽しみいただければ幸いです。」
 
 作品を紹介します。
 6枚(1セット)600円(税込)  連絡先 089-924-3025
 「一草庵」でも販売しています。


この「山頭火・切り絵アートの絵はがき」
フランスから来た欧州俳人たちに、プレゼントさせていただきました。

2012年9月21日金曜日

一草庵での日仏俳句交流                    松山や元気もらいて秋の旅  マルティンヌ

 フランス俳人たちの四国俳句巡りの皆様が、一草庵に来てくれました。

 フランスとの時差は、12時間ぐらいあるのでしょうか。
フランス中南部 オーヴェルニュ地方のクレルモン・フェランという町に暮らしている合谷麻容子さんから、電話があったのです。
そして、思いのこもった長文のメールをいただきました。

<オーヴェルニュ地方は、日本人にはあまり知られておりませんが、ちょうどフランスのおへそのあたりの地方で、ヴォルビックというミネラルウォーターの源泉のある緑豊かな場所です。私たちが暮らしている首府・県庁所在地であるクレルモン・フェラン市は、フランスでも最古の歴史を持つ町の一つとしても知られ、ガイドブックで有名な世界的タイヤメーカー ミシュランの本拠地で、哲学者パスカルの生地です。>

彼らの俳句スタイルは、自分たちにピッタリとくる自由律俳句だそうで、山頭火や放哉になろうとするのだそうです。
山頭火は海外では、大変人気のある俳人で、来日するマルティンヌ・ブルジエールさんは、フランス俳句協会発行の俳誌に山頭火の記事を執筆しているとのことです。

海を渡って発展した外国語俳句がそうであるように、フランスでも5-7-5の17音の制約や季語などの決まりはなく、3行程度に綴られた短い詩が「HAIKU」と呼ばれているとのこと。
俳句の創作は、日本語でなく、それぞれの国の言葉で行われ、それぞれの国で独自の「HAIKU]スタイルが広がっている。
「HAIKU」は、日本の詩であるということも忘れられてしまう日は近いかも知れないという。
そこで<日本の俳句のご先祖さまへのお墓参り>という日仏俳句交流プログラムができたわけです。
そして合谷さんは言います。
俳句は国際化したとはいえ、ふるさとの匂いがしないということを寂しく思っています。
「HAIKU」をきっかけに日本を知り、日本語や日本文化に触れてもらうことで、日本への興味や理解へとつなげることはできないか、古の俳人たちの生涯や句の生まれた歴史や背景、四季のうつろいに敏感な日本人の豊かな季語表現やわずか17音で表現される感動と世界観、日本の詩歌の魅力である日本語の美しい響きやリズムを彼らに感じてもらうことはできないものか。
俳都・松山は、まだ残念ながら海外の俳人たちには知られていないのが現状です。かつて熱い思いを持って生き抜いた俳人たちが暮らした場所であるということに思いを馳せてもらい、まだ知られていない魅力を発見し、一緒に世界へ発信しようという、萌えるような思いが合谷さんから伝わってきました。
もう一人、熱い熱い日本人がいます。日本側代表の香川県丸亀に住む、尾崎美恵さんです。
「四国夢中人」のホームページをご覧ください。そこには熱いパワーが漲っています。

HAIKUから俳句へ-欧州俳人たちによる四国俳句めぐり
世界に飛びだしたHAIKUたちの里帰り・その松山編を紹介します。
  (松山は、9月18日、19日、20日の滞在でした。)
18日の午後は、フランスの建築をモデルとした萬翠荘見学
    そして松山城へ。
19日は、子規記念博物館での糸瓜忌セレモニーへ参加
子規記念博物館で挨拶をするフランス俳人たち
それから、子規記念博物館~子規堂~庚申庵へ。
そして一草庵での俳句交流。
 一草庵の入り口で、日本の秋のこころ、コスモスの花を手渡し
お出迎えしました。そして、その花を山頭火さんに献花していただきました。

コスモス(秋桜)の花でお出迎え
山頭火の生涯、句碑の紹介のあと、
琵琶唄「俳人山頭火」を琵琶師・見立旭庸先生に演奏していただきました。そしてフランス俳人の方々にも琵琶にさわっていただき、琵琶を弾いていただきました。
 前にもブログで紹介しましたが、フランスの文化勲章といわれるコマンドールをもらった琵琶師・鶴田錦史がいるので、日本の音として認知されているかも知れません。
琵琶「俳人山頭火」を聴くフランス俳人たち

続いて、フランス俳人と一緒になって、琵琶の音に合わせて
山頭火の句
 分け入っても分け入っても青い山 を朗詠しました。

琵琶を弾くフランス武道家・ローラン・ペイアンさん
続いて、書家・石丸繁子先生に、”俳句を書く”ということで
山頭火の句
分け入っても分け入っても青い山 の書作の実演をみていただきました。
山頭火の句を書く書家・石丸繁子先生
山頭火・放哉が大好き、国内外で活躍する俳人マルティンヌ・ブルジエールさん

拍手を受ける俳人ミン・ティルト・ファームさん
宇都宮憲市さんに、俳句を墨によって写し取る拓本の実演をしていただきました。
拓本の実演をする宇都宮憲市さん
山頭火の俳句を声に出してうたい、俳句を書にしたためて
拓本にして俳句を観賞していだだきましたが、いかがでしたか。
と聞く時間もありませんでした。
 そんなことをしている時、山頭火さんが、突如登場しフランス人にご挨拶。(山頭火案内人の高橋君)
山頭火に扮装の高橋君とブルジエールさんとドゥテェイさん

好きなうどんを持つ山頭火さんと鉄鉢を持つペイアンさん

最後に”うどん”をすすっていただいて山頭火さんを皆で偲ぼうと、考えていたのですが、これもキャンセルとしました。

 山頭火最後の年、昭和15年9月19日の一草庵日記には、
夕方から正宗寺へ 子規忌なのでお墓まゐり。
亀屋でうどん2杯食べ、帰庵、とあります。

参加者全員で記念写真

一番残念だったことを報告して終ります。
ロンドン・オリンピックで、なでしこジャヤパンの活躍が日本を印象づけたので、是非、フランスの方になでしこの花を見ていただこうと、沢山の人が一致団結して探してくれました。
その見つかったなでしこの花を、すっかりと紹介できなかったので、涙しています。
私は、後で気が付くひょうきん者です、マティンヌ・ブルジエールさんの素敵な服の模様、なんとナデシコじゃないですか、写真を見てわかりました。またまた声をかけられず残念かな。)

また、俳句を詠む人たちが集まってくれたのに、交流の時間がとれなかった。




最後に、一草庵にて、毛筆で「俳句の書」にチャレンジしたフランス俳人の俳句を紹介します。

すだれ雨食べるのみてた蚊が僕を ローラン・ペイアン
 鳥なきて木陰の奥に松山城    ミン・ティルト・ファーム
   松山や元気もらいて秋の旅     マティンヌ・ブルジエール

※ 「四国夢中人」のHPで
  ”欧州俳人たちによる四国俳句巡り”報告会が拝見できます。
   http://muchujin.jp/archives/author/tomoko

 四国の文化に触れて、四国を腹いっぱい夢中に堪能された様子がズバリうかがえました。
 まるで、「四国夢中人」になったようです。
 海外では、自由律の俳句が主流だというお話もされていました。
 俳句を通じて、四国文化の発信をしてくれるそうです。バンザイ!

2012年9月20日木曜日

「第3回山頭火検定」の受験者を募集します。         県外の人もチャレンジを。 

 あなたも「山頭火」を身近に感じてみませんか。

父の遊蕩、母の自殺、家の破産・夜逃げ、弟の自殺、
酒に溺れてのち坊主への転身、家も妻も子も捨て、酒に溺れて、人に甘えて、放浪する。
それでも生きている自分を、俳句に詠んだ山頭火。
そして、死に場所を求めてやってきた俳都・松山で、温かい人々に取り囲まれてコロリ往生。
いろいろな不孝を乗り越えて、生き抜いてきたパワーを、その俳句の中に感じませんか。
未来は大変不安です、波瀾万丈の人生を送った山頭火の生きざまの中に、
生き抜いてゆくためのヒントが、隠されているかもしれませんよ。
「山頭火検定」合格者は、
きっと、不孝を背負って生き抜き切った山頭火の魔力を、いただくことができるはずです。

 「山頭火検定」応募者には、合格のするための傾向と対策の栞を送らせていただきます。
※来年度は、一歩すすんだ「山頭火検定2級」を計画しています。


第3回目の「山頭火検定」を行います。
山頭火を勉強して、いで湯とお城と文学の街・松山を堪能してみませんか。

『山頭火検定』のご案内をします。

試  験 日  平成24年10月8日(月・祝) 13:00~14:30
試験会場  みゆき会館(℡ 089-924-8965) 
                  (松山市御幸1丁目476 護国神社西隣)

検定料   一般 ¥1000  高校生以下  ¥500
       検定料の振込は、最寄の郵便局の「振込取扱票」で。
       ・振込先 口座記号番号 01680-3ー108377    
       ・加入者名   まつやま山頭火検定実行委員会            

募集期間  8月1日(水)~9月21日(金)
申込方法  ハガキまたはFAXで、下記の申込先へ。
      (住所・氏名・電話番号・年齢・性別を記入。)
試験要項  60問・択一式  正解率70%で合格認定。
『山頭火検定・公式テキスト』(¥600)より90%出題。

過去の検定問題は、ジャンル別情報の「ク、山頭火検定問題、ス、第2回山頭火検定問題」
をクッリクすれば、参照できます。

※『山頭火検定・公式テキスト』は、子規記念博物館、一草庵で販売しています。
 遠隔地の方は、下記の<申込先>へご連絡ください。

(希望により、「山頭火検定対策講座」を開催。)

 <申込先> 〒799-2651   愛媛県松山市堀江町甲1615-3
                   NPO法人まつやま山頭火倶楽部
                        TEL 090-6882-0004
                        FAX 089-978-5959

 今年は、山頭火検定後の山頭火に捧げるイベントは、
「山頭火寄席」を行います。
 創作落語「山頭火コロリ往生」をご披露します。
愛媛大学、松山大学の落研のメンバーも参加・応援してくれます。
是非、お立ち寄りください。

 山頭火の言葉と句、自選句集「草木塔」より
   
  わが庵は御幸山すそにうずくまり、お宮とお寺とにいだかれてゐる。
  老いてはとかく物に倦(う)みやすく、一人一草の簡素で事足る。
  所詮私の道は私の愚をつらぬくより外にはありえない。

    おちついて死ねそうな草萌ゆる  

  山頭火さんが、「私の落語ができました」聞きにきてね、といってますよ。

2012年9月19日水曜日

一草庵だより

一草庵だより第27号をお届けします。
今回は「夏の子どもまつり」の記事が満載です。まっすぐな子どもたちの目がとらえた俳句は、読む人の心を洗います。ぜひお楽しみください。また、「山頭火検定」や「山頭火寄席」などお知らせもあります。ごゆっくりどうぞ。
《 内 容 》
第1ページ
・ 一草庵・夏の子どもまつり
         200人参加し盛況裡に終わる
・ 10/8「山頭火検定」と「山頭火寄席」
・ 8月の山頭火句〈ブログ紹介の句〉 
第2ページ~第3ページ
・ 【特集】一草庵 夏の子どもまつり 俳句表彰
第4ページ
・ 俳人こばなしとクイズ
・ 先生へのインタビュー
・ 参加者の声
・ 山頭火の映画ができます
・ フォトほっと

2012年9月9日日曜日

一草庵が「BS11」で紹介されます、是非見てね。

「久しぶりに きれいな海ば見た。」
映画「あなたへ」で、大滝秀治87歳が、散骨を終えた英二(高倉健)に吐く言葉です。


この言葉に、撮影現場の高倉健は、泣いてしまいます。
一見、静かで平和そうに見える海で暮らしている漁師たちは、
悲しみと喜びのある海に生きているんだ。
いつも美しい海ではないんだ、と言っている声が聞こえてきて泣いたのです。
久しぶりに、がいいですね。
(この言葉、俳句の究極的な精神が宿っているようですね。)




うれいしいこともかなしいことも草しげる  山頭火

の句が、ふと頭に浮かびました。

高倉健は、「久しぶりに きれいな海ば見た」、なんてつまらないセリフだと思っていたらしい。
大滝の言い方と気迫にビックリした。これこそが、この映画のテーマなんです、と高倉健はいう。

(NHKプロフェッショナル 「仕事の流儀」 映画界の伝説 高倉健特集より)

この話を、実は、私、一草庵で8月19日に宇和島出身の元NHKアナウンサー 宮川俊二さんから聞いていました。
高倉健主演の映画「あなたへ」は、山頭火の句集をもって旅する映画ですよ、と声をかけたところ、上で紹介した大滝さんのお話をされました、朝日新聞で読んでいたそうです。

その宮川さんは、旅人となって、文学のまち・松山を紹介するために、一草庵ロケ班と一緒に撮影に来られた。スケジュールが一杯で、ワインの話もできなかった。

その番組「とことん紀行 愛媛編」は、2012年9月14日(金)20:00~20:54に、
BS11で放送されます、是非見てくださいね。
再放送は9月28日(金)に、同じ時間帯で放送されるそうです。

 文学の街として、松山城、道後温泉、庚申庵、一草庵、正岡子規の関係の史跡を、宮川さんがとことん掘り下げます。
 あなたもきっと”松山へ行ってみたくなります。”
「一草庵」縁側でインタビューする宮川さん
山頭火の位牌にお線香を上げる宮川さん