今週の山頭火句

今週の山頭火句 旅のかきおき書きかへておく  山頭火

2012年8月7日火曜日

『第2回山頭火出前俳句ポスト子ども俳句賞』の紹介

8月5日の「一草庵夏の子どもまつり」に、子ども俳句賞の表彰式を行いました。
清水小学校、姫山小学校、湯築小学校の児童が、出前山頭火俳句ポストに投句してくれました。
投句数750句の中より、俳句選者に入賞句を選んでいただきましたので紹介します。
大人の俳句にない新鮮さを感じます。ストライク・ゾーンに一直線で入ってくる直球のようで、心が洗われるようです。

 良寛の詩がある。
「花開時蝶来 蝶来時花開」

子どもたちが
あじさいを、おつきさまを、ひまわりを見て詠んだ句と、どんな違いがあるのだろうか。



『第2回山頭火出前俳句ポスト子ども俳句賞』を紹介します。貴方はどの句が好きですか。


小西昭夫・選

【特選】あじさいもぼくを見守る登下校      姫山小4年 青木優真

 交通状況その他いろいろあって子供たちの登下校の通学もなかなか
大変である。地域の見守り隊の方々も毎日、子供たちの安全な通学の
手助けをしているが、通学路に咲いているあじさいもまたぼくを見守
ってくれているのだ。

【入選】 おつきさま きんいろのべろだしている   湯築小1年 福永 逞
 
 おつきさまのひかりがまっすぐにちきゅうにさしてくる。
そのおつきさまのひかりのすじがまるでおつきさまのべろのようにみえる。
おつきさまがきんいろのべろをだしているのだ。

【入選】さくらさくむねがどきどき新学き  清水小3年 シュマスマン セリーナ

 さくらがさくと新学期がやってくる。クラスがえもあって友だち
との別れや出会も経験することになる。あるいは、彼や彼女といっ
しょになれるのかと胸がドキドキする。不安もあるが楽しみもある
のが新学期。

【入選】菜の花とポーズをきめた写真立て    清水小5年 永見優妃

 春が来た喜びを伝えてくれるものの一つに菜の花がある。そんな喜
びのなかで記念写真を撮った。写真立てにはポーズを決めた写真がきちんと収まっている。

【佳作】あめあがりにじがきれいだげつようび   清水小1年 葛原寛己

 あめあがりにはにじがでるかもしれないというたのしみがある。
そのとおりににじがかかったのは、がっこうがはじまったげつようび。
げつようびがしんせん。

【佳作】風りんがチリチリなってラムネ玉      姫山小3年 玉井友喜

 風りんもラムネも夏の季語だが、そんなことは気にしなくていい。
風りんがチリチリなって、ラムネ玉もコロコロとなる暑い夏である。

【佳作】王様のかんろく見たりかぶと虫       湯築小6年 藤原峻介

  かぶと虫やくわがた虫は子どもたちのヒーロー。ミヤマクワガタ、
ノコギリクワガタ、コクワガタなどいろいろいるのだろうが、やっぱり
 かぶと虫には王様のかんろくがあるのだ。

白石司子・選

【特選】 じいちゃんのえ顔の味するトウモロコシ  姫山小4年 前川大河

 この「トウモロコシ」は、じいちゃんの手作りなのかな?お店に並んで
いるものよりもかたちがすこし変わっているかもしれないけど、それは、
誰が作ったものにも負けない「じいちゃんのえ顔の味」がする。
この句を読むと、じいちゃんだけではなく、前川大河さんの「え顔」までも想像され、ほほえましくなってくる。

入選】 ひまわりはらいおんたてがみ きれいだね  清水小1年 白石もも

 咲いているいる「ひまわり」も、風にそよぐ「らいおん」のたてが
みも、ほんとうにきれいだね。そのふたつを美しいと感じるだけでも
すごいのに、「ひまわり」を、「らいおんたてがみ」と「みたて」たのが、
白石ももちゃんの発見。らいおんたてがみとしたことで、元気いっぱいに
そだっていひまわりがみえてくる。

【入選】 太陽と大きなひまわり にらめっこ     姫山小2年 弓山佳乃

 まるで太陽に向かってゆくように、ぐんぐん成長し、大きくなるひまわり。
それが「にらめっこ」なんだね!元気いっぱいの夏と弓山佳乃ちゃんが、
目の前にいるみたい!


【佳作】 お日様がぼくのアイスを食べちゃった  湯築小4年 荒木聡太

 「アイス」を食べるのに少し時間がかかって溶けだしたのかな?
それを「お日様」のせいにするなんて、さすが!荒木聡太くんのちょっぴり
残念な顔と、ちゃっかりとアイスをいただいた、満足げなお日さまの顔との
対比を想像しただけでも楽しい。

【佳作】 父さんの怒りといっしょのかき氷      姫山小5年 天倉祐志

 今回も「かき氷」俳句がいっぱいあったが、説明的な作品が多い中で
際立っていたのが天倉祐志さんのこの句。かき氷をいっぱい食べると、
キーンときて頭が痛いし、また、食べ方によっては一気に崩れるかき氷。
身近な存在のお母さんよりも、「父さん」に怒られるほうがずっと効く。
それがうまく表現できている句だ。

【佳作】 こうれいのたけのこご飯 夕食に      清水小5年 岡田 彩

 おなかをぺこぺこに空かして学校からかえり、さあ、これから楽しい
岡田彩さんの夕食。でも、お母さんか誰かが作ってくれたご飯を食べると、
いつもと違って、たけのこが少し硬い・・・。それをそのまま表現するのではなく、
「こうれいのたけのこ」としたことが愉快。
この滑稽味こそが俳句!

本郷和子・選

【特選】 金魚すくい人魚がとれたとゆめのなか     姫山小4年 山田心純

 金魚すくいをしていて人魚がとれたなどと夢であっても楽しい。
あっと驚く俳句で、素晴らしい発想に脱帽。

【入選】 あめんぼが空とぶようにすいすいと       清水小4年 藤本健心

 池に写った空を、あめんぼうがすいすいと飛ぶように泳いで
いることを発見したのだろう。観察のよくできた句。

【入選】 ヒット打ち一塁ベースに初夏の風      清水小5年 原井川智哉

 ヒット打って一塁ベースにスライディングしたのか、初夏の風も
一緒になって吹き抜けてきたのか、動きのあるいきいきとした句。

【入選】 風あたり心の風鈴「リン」と鳴る       湯築小6年 小松紀亜
 
 心の風鈴と言った人は今までで初めて。風が心の中まで入ってきて、
さわやかな気持ちにさせたのでしょう。表現力がある。

【佳作】 すいかわり三回まわってすなたたく     姫山小3年 藥師神陽希

 目隠しをして長い棒を持って、ぐるぐる三回まわった後、「エーイ」とふり下ろす、叩いた所は砂だったというユーモアがある句。

【佳作】 かきごおり私の中は太陽だ          湯築小5年 木原樹里亜

 暑い暑い日、体の外も中も、まるで太陽のように炎えて暑い。
そんな時、冷たいかき氷を食べると全身冷えてすっきり。
気持ちがよくでている。

【佳作】 新緑のパッチワークのながめかな      清水小6年 松本大希 

 新緑にも、木々によって、形、濃淡などいろいろ違いがある。
それをパッチワークのようだと発見したのはみごと、遠くかみれば
本当にその通り。
  
熊野伸二・選

【特選】大好きなすいかをきらう反抗期      湯築小6年 菊川瞬希

 お母さんか誰かにスイカを勧められたのに、「いらん!」とすげなく答えたのは、作者本人かな?実はスイカは大好きなのにーです。それを「反抗期」と言い切っていますが、何か気に入らないことでもあって、ちょっとスネてみせたの?
早く機嫌を直してね。

【入選】つばめさんおかえりなさいまた会えた  姫山小3年 武田亜美

 ツバメは、春、日本へやってきて、家の軒下などに巣作りして子育てします。
最初に巣作りした家へ帰ってくるといいますが、作者の家にも、去年のツバメが帰ってきたのです。「おかえりなさい」と迎えて「また会えた」ことを喜ぶ気持ちが
よく出ています。

【入選】しおかけた までがいでてきたおどろいた  清水小3年 野村玲音

 マテガイ(馬刀貝)は、浅海の砂底や泥中に小さな穴をあけて住んでいます。
獲る時には、その穴へ塩を少し振り掛けると、にゅーと貝が出てくるので、
素早くつかむのです。その一連の動きが時系列に沿って詠まれ、驚きぶりが
よくわかります。

【入選】日焼けしてシャワーあびればいたたたた   湯築小4年 矢野和尊

 海水浴などで急に日焼けすると、肌がひりひりと痛いものです。熱いシャワー
でも浴びようものなら、矢野君の詠んだように「いたたたた」です。
夏休みに入れば、思い切り海や山などを楽しんでね。でも熱中症には気を
つけてください。

【佳作】みずたまりかえるはねるよ いいじゃんぷ  清水小1年 正木勇人

 夏の水たまりには、いろいろな水中動物がいて、カエルも、ごそごそ、
ぴょんぴょん移動したりしています。勇人くんは、はねるのを観察し、
「いいじゃんぷ」とほめています。動物がオリンピックすれば、カエルは
三段跳びの選手かな。

【佳作】 なつのさるかおが赤くてあつそうだ     湯築小2年 上松 大夢

 サルにもいろいろな種類がいますが、顔が赤いのはニホンザルかな。
たしかに、夏にあの赤い顔を見ると「暑そう」に見えますね。体が毛にお
おわれている動物は、どのようにして熱さをしのいでいるのか、研究する
と面白いかもしれませんね。

【佳作】田んぼにはいろんな命がやどっている    姫山小5年 真鍋遼多

 稲を植えて水をはった田んぼには、多くの小動物がいます。アメンボ
やミズスマシ、ゲンゴロウ、トンボやカゲロウの幼虫、カメムシ類も。
カエルやイモリもいます。ほんとにいろんな命がやどっていて、みんな友
だちなんですね。

 参加賞

  夏の空ようふくきている水いろの      湯築小3年 越智朱音

  夏の空はよく晴れていて水色そのもの。空も洋服を着ているという
 大人にはない感性、それが水色であるという。
 子供らしい素直な思いつきが素晴らしい。

  かぶとむし月の光でとんでいる       清水小3年 田中晴朗

  まだ月の光が残っている頃、かぶとむしは活動を始める。
 月の光の中、月の光と一緒に飛んでいるのだ。
 とてもきれいで、その様子をだれもが見たくなる句。

  あじさいは雨のシャワーまつばかり      姫山小4年 松田樹李

   あじさいほど雨が好きな花はない。きっと晴れた
  日が続きあじさいが少しぐったりしているのだろう。
  雨のシャワーを浴びてあじさいが生き返るのを待って
  いるやさしい気持ちの作者だ。                (選評・本郷)