踏みわける萩よすすきよ
秋の七草の季節か、萩・芒・桔梗など愛でつゝ、その中を行く山頭火、
この美しい花野の季節がすぎれば、又、寒くてきびしい時を迎えねばならない、
自然の花や、山や川、野原を愛した旅人。(ちとせ)
この句には、前書きがあります。
昭和二年三年、或いは山陽道、或いは山陰道、或いは四国九州をあてもなくさまよふ。
昭和三年十一月号の「層雲」発表句九句の中に出てきます。
へうへうとして水を味ふ の句もこの中に含まれています。
小野沢実さんが、この句を上手に解説してくれています。
「五、三、四音とリズミカルに簡潔にうたい切って、山頭火の心ははずんでいる。……
町並みをぬけて山道にさしかかり、そこで萩や薄と出会いを持ったのである。山頭火はそれに
時おり手を触れながら、今年も好きな秋がやって来たことを喜んだのだろう。
家々の門口に立つ時、山頭火は必ずしも人々の歓迎を受けなかったはずである。というより、
心を傷つけられる仕打ちにしなしば出あったろう。しかし、こうして大自然に迎えられ、だれをも
全く差別することのない数々の贈り物に触れることで、たちまち生気をとりもどしていったのである。
思わず知らず、大自然の中に歩み入る山頭火の足どりははずむのであるが、その歩むぶりを、
そのまま「踏みわける」ーーと簡潔直截にうたいだし。「萩よすすきよ」とリズミカに結んだのである。」
山頭火さんは、澄太さんにこんな話もしています。
「澄太君、日本の秋は結局萩とすすきだね。萩の花からこぼれる露をふんで山路を歩き、すすきの
原に沈む大きな夕日を眺めると。わしのような孤独な漂泊者は、いつ死んでもよいとさえ思うよ」
山頭火句の英訳を紹介しておきます。
Pushed my way through
O! my friends
a bush clover, and
pampas grass 西村秋羅
(いつしか秋、萩とすすきが象徴する日本の秋、踏み分けて今日も山頭火は旅する。)
<追伸> 10月29日 「お城下ウォーク」の人たち、2100人が一草庵を訪れました。
コースは、坂の上の雲ミュージアム ~ 愛媛大学ミュージアム ~ 松山大学温山会館
~ 一草庵 ~ ロシア人墓地 ~ 二之丸庭園 ~ 城山公園 (約8キロ)
南海放送ラジオが生中継をしていました。
Capyのお姉さんにインタビューされましたので、一草庵のことをPRしておきました。
「一草庵に来るとパワーをもらえるという人がいるんですよ。
一草庵はパワースポットなんです。
山頭火さんは、お母さんが自殺、家が破産、妻と離縁、弟も自殺。
そんな苦悩を背負った、波乱万丈な人生を体験した人なのです。
人生の後半42歳から何もかも捨てて ひとり放浪の旅に出て15年
最後に松山にやって来て、この一草庵で、コロリと大往生した人なんです。
そのパワーが一草庵に潜んでいるのです。」
お城下ウォーククイズです。
「ここ一草庵を終の住処とした種田山頭火。戦前日本の俳人で自由律俳句の
もっとも著名な俳人の一人として知られています。
では、山頭火の本名は?
①種田貫一 ②種田巧一 ③種田正一 <ヒント あなたは正しい!>