今週の山頭火句

今週の山頭火句 笠にとんぼをとまらせてあるく  山頭火

2010年11月30日火曜日

一草庵だより 第7号

一草庵だより第7号ができました。

  <内 容>
  ・  「山頭火検定」の合格者発表会 開催
    合格者に認定証と記念品を贈る
    「いま、なぜ山頭火なのか」村上護先生の講演を聞く
  ・  第19回全国山頭火フォーラム開く  松山市から12名が川棚温泉へ  
  ・  山頭火の句碑をたずねて  川棚・仙崎・美祢・小郡・湯田  
  ・  『山頭火俳句ポスト賞』決定
  ・  笠も漏りだしたか川棚雨情   
  ・  山頭火検定に挑戦して 検定試験奮闘記  
  ・  一草庵歳時記  
  ・  案内人、徒然ばなし 「アウトドアの達人」山頭火  
  


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2010年11月24日水曜日

『第3回俳句一草庵賞』決定。

                 『第3回俳句一草庵賞』
                       (開催日 22年11月23日) 

山頭火を偲んでの「第3回俳句一草庵」で、次の俳句が選ばれました。


俳句一草庵大賞
空がまぶしい大銀杏   松山 東 隆美

(評)七・五の短律の自由律俳句。しかもぶっきらぼうに、上七で眩しい空の状況を
述べ、下五は「大銀杏」だけを置き「大銀杏」があるとか「立っている」とかは語らない。
まぶしい空と銀杏の巨樹を示すことで、晩秋の澄んだ空気と高い空と黄金色の落葉が
一時に想起される。まことに“沈黙は金雄弁は銀”だ。俳句は、省略された言葉を読み
手が補完して味わう文芸である。(熊野)

松山市長賞
生きているかと木枯吹く  松山 木城香代

(評)「木枯」は「凩」とも書く。「十一月前後に吹き、木の葉を落とし枯木にしてしまう強い風」
と歳時記にある。だが、この句は、負のイメージの「木枯」を「励ましの風」とプラスに受け
止めている。「生きているか」は「しっかりしろよ」と代弁している。
「十方にこがらし女身錐揉(きりもみ)に 鷹女」の句がある。
女のみならず男も、人は十方の木枯に吹きさらされて生きている。(熊野)

松山市文化協会長賞
掌の中の木の実見せ合ふ姉妹  松山 井上由美子

(評)幼い姉妹だろうか、それとも熟年姉妹だろうか。手の中の艶やかな木の実を見せ合う
二人の仲のよさが伝わって来る。
木の実を拾う、拾った実を見せ合う―それは、自然への畏敬の念と利害を超越した豊かな
感性を感じさせて、気持ちがいい。素直な叙述も。(熊野)

小西昭夫・特選
この空が松山の空秋の空  大阪府堺市 中島学

(評)山頭火ファンの中島さんには松山は憧れの地。
やって来た松山では心地よい秋日和が迎えてくれた。
この空が松山の空だ、美しい秋の空だと感じたのだ。
「空」や「の」の三度のくり返しのリズムが弾む心を伝えてくれる。
美しい松山讃歌。

白石司子・特選
黄落や言葉を探すは生(せい)なりき  松山 大野美代子

(評)美しく、また人生の黄昏時を感じさせるような黄落。
そして俳句をするものにとって句作りは言葉の格闘、つまり「言葉探し」そのものである。
作者はふと人生を振り返った時、他者を喜ばせ、時として凶器ともなり得る
言葉、その言葉探しの連続は「生」そのものであったなあという思いを探したのかもしれない。
ただ対象を示す助詞「を」は外せるような気もするが、上五の切字「や」による飛躍が
一句に多くを内包させている。

橋正治・特選               
枯れるばかり吹かれるばかり   松山 伊藤海子

(評)「俺は川原の枯芒」のようなうらぶれた風情ではないが、
この句のなかにロマンの数々、人生をおもわずにはいられない情景を感じる。
落魄味であるならば、これこそは天からの至宝として愚痴は漏らすまい。
今こそ気取りのない日々の生活が倖せである。

本郷和子・特選
放浪の旅のはじまり草の絮(わた)   松山 岩崎美世
 
(評)人は皆、心のどこかで現実の世界から逃避して、
放浪の旅に出たい願望を持っているにちがいない。
山頭火の行乞流転の旅は、ある意味、精神の自由を貫いた幸せな生き方であったろう。
草の絮の行方をみて作者の想いが伝わってくる。

熊野伸二・特選
山頭火居士大の字に眠らんか  重信 白石かがり
 
(評)人は、誰でも死後の世界に想いをめぐらせる。地獄、極楽があるのだろうか。
それとも無の世界か―と。現世で放浪し、大酒した山頭火の“あの世”を思う作者は
「あの世でも山頭火はきっと大の字になって眠っているのではないか、そうに違いないと」と考える。
終焉の地・松山の山頭火は「大悟徹底して、コロリ往生した」と信じるから・・・。

一草庵会場賞
わが前へ落葉うしろへまた落葉  松山 寺村通信

 (評)眼前に舞い散る落ち葉を眺める。ふと振り返れば、うしろへも。
「また」は、つぎつぎに散る落葉を表し、そこに佇む作者を想起させる。
メルヘンチックな落葉の世界が出現するではないか。(熊野)


山頭火いさうな路地や野菊晴    東温市 白石かがり

(評)小さな集落の路地の日溜りに、野菊が白い花を咲かせている。
老婆がゆっくり歩いてくる。石垣の上に猫が日向ぼっこしてもいようか。
そんなたたずまいの中へ、ひよっこり山頭火が姿を現わしても不思議ではない。
曲がり角の先には、きっと山頭火がこちらへ向かって歩いているだろう。
托鉢の成果も上々で、山頭火は「早く宿へ帰って一杯やろう」とご機嫌。
そう思わせる句だ。(熊野)        

2010年11月23日火曜日

『秋の俳句一草庵』開催。

秋の俳句一草庵を、1123日(祝)開催。
市内外の山頭火ファンが60名近く参加。山頭火の求めた新しいほんとうの俳句が生まれるよう句会の方法を工夫しました。
サキソフォン、ギター、JAZZボーカルを聞きながら、またバザーを楽みながら、吟行し投句していただきました。当日の投句数は106句。
色紙に書かれた俳句を5枚づつ板に貼り付け、一草庵広場でオープン公開方式による選者の旗上げ、会場参加者の挙手により俳句賞を選びました。 
5人の選者が俳句一草庵大賞、松山市長賞、松山市文化協会長賞、選者特選を選び、会場参加者に会場賞2句を選んでもらいました。この日のためにわざわざ大阪堺市から駆けつけてくれた中島さんが、選者特選に選ばれました。この空が松山の空秋の空 中島学
表彰を受ける大阪堺市の中島さん
表彰式
JAZZを奏でる秋元啓トリオ

2010年11月13日土曜日

『第3回山頭火俳句ポスト賞』決定。

投句期間 22年7月1日~10月31日

一草庵「山頭火俳句ポスト」に投句された148句(内、県外句は38句。北海道、福島、東京、愛知、
大阪、和歌山、長崎等からの来庵者投句あり。各選者の先生に優秀句を選んでいただきました。県外者から3句がえらばれました。
11月23日「一草庵」にて表彰。


山頭火俳句ポスト賞(秋季)
 山頭火なして酒飲む前に生柿食わなかったか    松山 田中清子

(評)柿は肝機能を高め二日酔いや悪酔いの防止に効果があることが知られている。
柿に含まれるタンニンが二日酔いのもとになるアセトアルデヒドと反応して排出をうながすのだという。
「なして」というのは南予地方の方言だろうか。口語のリズム
が心地よい。「なして」に呼応した「生柿」の音もいい。 (小西選)

小西昭夫・選
【特選】 秋風や足湯の足のすぐ乾く       長崎佐世保市 谷口和子

(評)足湯は温泉地の楽しみの一つだが、秋風の中では濡れた足もすぐに乾く。特に秋も深まってくると、
そのことに一抹の寂しさも感じる。「秋風」「足湯」「足」のリズムがいい分、余計に。

【入選】 ほろほろと昔ばなし語りて草庵曼珠沙華咲く   松山 安平賢三

(評)今回のポストは長律の句に面白いものが多かった。この句も短律で「ほろほろと曼珠沙華咲く」とか
「昔ばなし語りて曼珠沙華咲く」とすれば、あまり面白くない。この句が面白いのは長律だから。
短律で書いて山頭火や放哉の模倣を避けるのは本当に難しい。

白石司子・選
【特選】 彼岸花ここから先はひとり旅       松山 玉井淳子

(評)一草庵の庭に咲いていた彼岸花だろうか。漂泊の俳人山頭火の足跡を訪ね、
やっと辿り着いた終焉の地一草庵。そういったひとつの目的を達成した作者にとって、
ここ(一草庵)から先は本当のひとり旅が始まるのである。
「曼珠沙華」でなく、和名「彼岸花」としたことが、「此岸」と対極にある「彼岸」、
即ち作者自身の悟りの世界みたいなものさえもうかがわせる。

【入選】 山頭火不在のポスト秋の風       大阪府堺市  辻田智子

(評)秋風にひょうひょうと誘われて一草庵から再び行乞流転の旅に出た山頭火。
そして不在の空白をしっかり守るかのように無言で立つ「山頭火俳句ポスト」。
山頭火はまたひょっこりと戻ってくるかもしれない。ふと、そんな思いにさせるのは
「秋の風」を配したことによるものなのかもしれない。季語のもつ本意本情をうまく活用した句だ。       

高橋正治・選
【特選】 萩には触れず帰る     松山 伊藤海子

(評)それがよい、その内に路辺の土に鎮まる。季節の沈黙が濃厚に満たしてくれるから。

【入選】 あの雲に夢を貰った    松山 堀口路傍

(評)よろこびをもって人に接すると奇蹟は起こる。大空をゆく雲に夢は映っている。
朝夕の彩りに光る雲に希望をも見つけている、健全なる夢に祝福しよう。

本郷和子・選
【特選】 過去未来曼珠沙華曼珠沙華       松山 浅海好美

(評)漢字ばかりの句であるが、音読するとまるでお経のようなリズムになる。
曼珠沙華を繰り返すことで過去から未来へと続く時間や、空間を感じることができる。
深く読めば、宗教観、死生観をも内臓している。

【入選】 彼岸花ここから先はひとり旅        松山  玉井淳子

(評)一見、平凡、単純な句と思えるが、「ここから先」は、作者の通る道、あるいは人生であろう。
季語の彼岸花が、この句に生きてくる。山頭火は生涯ひとり旅であった。
一草庵で詠む句にふさわしい。

熊野伸二・選
【特選】 やっとあんたと会えた酒が酔わせる   大阪府堺市 中島学
 
(評)「一草庵」だから、必然的に「山頭火」が念頭にある。一草庵を訪ねた作者は、
そこに山頭火の存在を実感し、巡り会えた安堵の酒に陶酔すると読める。同時に、放浪
時代の山頭火の心境を代弁してもいる。彼のいう「あんた」は緑平か澄太か或いは墓と
なった朱鱗洞か、放哉か。しみじみの酒だ。

【入選】 一村の風の白さや蕎麦の花        松山  三好真由美

(評)鄙びた集落を吹き抜ける風は白=無色で、夏から秋への交替期である。
蕎麦は痩せ地や焼畑で栽培される。豊饒の沃野とは違った山峡の村の原風景か、見事に詠まれた。

<受賞者の言葉>
<辻田智子さん>
 10月18日「朝日俳壇選者(稲畑汀子・金子兜太・長谷川櫂・大串章)とともに」
ツアー旅行で、松山へ来た時に一草庵を訪れて作った句です。
初めての一人旅、入選したことが大変励みになります。

<谷口和子さん>
10月14、15日「狩」鷹羽狩行主宰の傘寿記念俳句大会に参加して、
みんなで一草庵へいこうということとなりました。
一草庵ではすぐにできなかったので、道後で詠んだ句を投句しました、大変うれしいことです。
俳句大会では、一草庵での句「一草庵鉄鉢色の椿の実」が何人かの特選となりましたよ。


<中島学さん>(大阪堺市から表彰式へ参加)
この句は20代ごろの作品です。
選者の熊野先生がご指摘のように、山頭火か放哉にやっと会えたという嬉しさでつくったものです。
今回は妻と二人で初めて一草庵を訪れました。バスの時間が迫っており
ゆっくりできなかったのですが、よく思い出す自慢の句を投句させていただいた次第です。
今年になって、元旦から一日一句以上と決めて定型の生活句を作り続けております。
今日で593句になりました。今回、この素晴らしい賞を受賞できたことにより、
今後一層の励みとなります。山頭火と松山、そして俳句は私にとってこれまで以上に身近で
大切な存在となりました。

2010年11月3日水曜日

「山頭火検定合格発表」記念講演会。

11月3日子規記念博物館で、「山頭火検定合格者」発表会をおこないました。
合格者55名、うち出席者 41名。
合格者に「山頭火検定合格認定証」と「山頭火マグカップ」を贈呈しました。

引き続き、村上護先生の『いま、なぜ山頭火なのか』と題する講演会を開催しました。
講演する村上護先生